電線が長い、細い、流れる電流が大きい。こうした条件がそろうと、電源から離れた負荷側で電圧が下がってしまいます。これが「電圧降下」です。この記事では、配線方式ごとの計算式と、その場で計算できるツールを紹介します。
電圧降下の計算ツール
配線方式のタブを選び、電流・こう長・電線の太さ・電圧を入力すると、電圧降下と電圧降下率を途中式つきで表示します。
電圧降下とは
電線にも、わずかですが抵抗があります。電流が流れると、オームの法則のとおり「抵抗×電流」のぶんだけ電圧が下がります。この下がった電圧が電圧降下です。
電圧降下が大きいと、次のような困りごとが起こります。
- 照明が暗くなる・ちらつく
- モーターが起動しにくくなる
- 機器が誤動作したり、発熱したりする
配線方式ごとの計算式
低圧の屋内配線では、次の簡易式がよく使われます。
| 配線方式 | 計算式 |
|---|---|
| 単相2線式 | e = 35.6 × L × I ÷ (1000 × A) |
| 単相3線式 | e = 17.8 × L × I ÷ (1000 × A) |
| 三相3線式 | e = 30.8 × L × I ÷ (1000 × A) |
- e:電圧降下[V]
- L:こう長(電線の長さ)[m]
- I:負荷電流[A]
- A:電線の断面積[mm²]
単相3線式の式は、負荷が平衡しているときの、外線と中性線の間の電圧降下です。
係数35.6・17.8・30.8の意味
3つの係数は、すべて銅線の抵抗率から来ています。銅線の抵抗率は約0.0178Ω・mm²/mで、これを使うと電線1本あたりの電圧降下は「17.8 × L × I ÷ (1000 × A)」になります。
- 単相2線式(35.6):行きと帰りの電線2本ぶんなので、17.8の2倍
- 単相3線式(17.8):負荷が平衡していると中性線に電流が流れないので、電線1本ぶん
- 三相3線式(30.8):三相の電圧の関係から、17.8の√3倍(約1.73倍)
係数の意味がわかると、式を丸暗記しなくても思い出せるようになります。
電工試験向け:抵抗値から求める式
電気工事士の筆記試験では、電線1本の抵抗 r[Ω]を使った形で出題されることが多いです。
| 配線方式 | 電圧降下 |
|---|---|
| 単相2線式 | v = 2Ir |
| 単相3線式(平衡負荷) | v = Ir |
| 三相3線式 | v = √3 Ir |
たとえば、電線1本の抵抗が0.1Ωの単相2線式に10Aが流れると、電圧降下は 2 × 10 × 0.1 = 2V です。
計算例
単相2線式・100Vで、20Aの負荷に30mの配線をする場合を考えます。電線が5.5mm²だと、
e = 35.6 × 30 × 20 ÷ (1000 × 5.5) ≒ 3.88V(電圧降下率 約3.9%)
となり、目安の2%を超えてしまいます。電線を太くすると、次のように変わります。
| 電線の太さ | 電圧降下 | 電圧降下率 |
|---|---|---|
| 5.5mm² | 約3.88V | 約3.9% |
| 8mm² | 約2.67V | 約2.7% |
| 14mm² | 約1.53V | 約1.5% |
この条件なら、14mm²にすれば目安内に収まります。上の計算ツールで数値を変えて試してみてください。
電圧降下の目安と対策
内線規程では、原則として幹線・分岐回路それぞれで標準電圧の2%以下が目安とされています。こう長が長い場合などには緩和の規定もあるので、実際の設計では最新の内線規程で確認してください。
電圧降下が大きいときの主な対策は次のとおりです。
- 電線を太くする:断面積が大きいほど抵抗が小さくなる
- こう長を短くする:分電盤の位置や配線ルートを見直す
- 電圧を上げる:同じ電力なら200Vにすると電流が半分になり、電圧降下率も大きく下がる
【体験メモ:現場で電圧降下が問題になった例や、対策の判断のコツを追記】
まとめ
- 電圧降下は、電線の抵抗によって負荷側の電圧が下がる現象
- 係数は銅線の抵抗率から来ており、単相2線式35.6・単相3線式17.8・三相3線式30.8
- 目安は原則2%以下。超える場合は電線を太くする・こう長を短くするなどで対策する

