リビングの照明を少し暗くしたい、会議室でプロジェクターを使うときだけ照明を落としたい――こうした明るさの調整を調光といいます。この記事は照明制御シリーズの2本目として、調光のしくみと、LED照明で調光するときの注意点を解説します。
調光とは
調光とは、照明の明るさ(光の量)を連続的または段階的に変えることです。電気的には、「光源に届く電力を減らす」ことで実現します。
調光の方式は、大きく次の3つに分けられます。
| 方式 | 何を操作するか | 主な使われ方 |
|---|---|---|
| 位相制御方式 | 電源の交流波形を途中で切る | 住宅の壁付け調光器、白熱灯・調光対応LED |
| PWM方式 | 電流を高速でオン・オフし、オンの割合を変える | LED照明器具の内部(電源ユニット) |
| 信号線方式 | 電源とは別の信号線で明るさを指示 | 店舗・オフィス・施設(0-10V、DALIなど) |
位相制御方式
交流の波形のうち、一部分だけを通して残りをカットすることで、光源に届く電力を減らします。トライアックなどの半導体素子を使います。
- 正位相制御:波形の前半をカットする。白熱灯用の調光器で昔から使われている方式
- 逆位相制御:波形の後半をカットする。電子回路を持つLED照明と相性がよく、ちらつきやノイズが出にくい
調光対応LEDには「正位相対応」「逆位相対応」「両方対応」があり、器具と調光器の方式を合わせる必要があります。メーカーの適合表で組み合わせを確認するのが基本です。
PWM方式
PWM(パルス幅変調)は、LEDに流す電流を目に見えないほど高速にオン・オフさせ、オンの時間の割合(デューティ比)で明るさを変える方式です。オンが50%なら、明るさはおおよそ半分になります。
LED器具の中の電源ユニットで使われることが多く、外からの調光信号(位相制御や信号線)を受けて、器具内部でPWMや電流の大きさを変えて明るさを調整しています。
信号線方式(0-10V・DALIなど)
電源線とは別に調光用の信号線を配線し、その信号で明るさを指示する方式です。店舗やオフィス、ホールなど、たくさんの照明をまとめて制御する場所で使われます。
- 0-10V方式:信号線の電圧(0〜10V)で明るさを指示する。構成がシンプル
- DALI:国際規格(IEC 62386)のデジタル通信方式。器具ごとにアドレスを振り、個別・グループで調光や状態の確認ができる
- PWM信号方式:信号線にPWM信号を送る方式。国内メーカーの施設用照明で広く採用されている
信号線方式は、器具・調光器(コントローラー)の信号の種類が一致していないと動作しないため、設計段階で方式をそろえておくことが重要です。
LED調光でよくあるトラブル
- 調光非対応のLEDを調光回路につないだ:ちらつき・点灯不良・器具の故障の原因になる
- 調光器と器具の方式が合っていない:暗くしたときにちらつく、下限で消える
- 調光器の最小負荷を下回っている:LEDは消費電力が小さいため、台数が少ないと動作が不安定になる
- 電球だけLEDに替えた:既存の白熱灯用調光器には「調光器対応」のLED電球を選ぶ
調光器の定格容量や最小負荷は、電力とは?の考え方で器具の合計ワット数を出して確認します。
まとめ
- 調光は光源に届く電力を減らして明るさを変える技術
- 住宅は位相制御(正位相・逆位相)、施設は信号線方式(0-10V・DALIなど)が中心
- LED調光は「調光対応器具」と「方式の一致」「最小負荷」を必ず確認する
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参考文献
- IEC 62386(Digital addressable lighting interface)
- 一般社団法人日本照明工業会(JLMA)LED照明の調光に関するガイド・技術資料
- 各照明メーカーの調光器・器具適合表

