「ブレーカーが落ちた」と思ったら、実は漏電遮断器が動いていた――というのはよくある話です。この記事では、漏電とは何か、なぜ危ないのか、そして漏電遮断器がどうやって漏電を見つけて電気を止めるのかを解説します。
漏電とは
漏電とは、本来は電線や機器の中だけを流れるはずの電気が、絶縁の劣化や損傷によって外(金属の外箱や大地)へ漏れ出すことです。
主な原因には次のようなものがあります。
- 電線の被覆の劣化・傷(ネズミにかじられる、ステープルの打ちすぎなど)
- 機器内部への水の侵入、湿気、結露
- コンセントまわりのほこりによるトラッキング
- 屋外機器の経年劣化
漏電はなぜ危険なのか
- 感電:漏電している機器の金属部分に触れると、体を通って大地に電流が流れる
- 火災:漏れた電流が建物の金属部分などを流れて発熱し、出火することがある
- 電気の無駄:漏れた分の電気料金がかかり続ける
人体は、数十mA程度の電流でも命に関わる危険があるとされています。そのため、漏電は「少しだけだから大丈夫」とはいえません。
漏電遮断器が漏電を検出する仕組み
漏電遮断器(ELB、ELCB)の中には、行きの電線と帰りの電線をまとめて通した零相変流器(ZCT)が入っています。
- 正常なとき:行きと帰りの電流は同じ大きさ → 磁界が打ち消し合い、ZCTの出力は0
- 漏電したとき:漏れた分だけ帰りの電流が少ない → 差の分の磁界が生まれ、ZCTが検出
この差(漏れた電流)が設定値を超えると、遮断器が回路を切ります。
定格感度電流「30mA」の意味
漏電遮断器の銘板に書かれている定格感度電流は、「この大きさの漏電で動作する」という値です。住宅の分電盤で一般的なのは次の組み合わせです。
| 項目 | 住宅で一般的な値 | 意味 |
|---|---|---|
| 定格感度電流 | 30mA | 30mAの漏電で動作する |
| 動作時間 | 0.1秒以内(高速形) | 漏電を検知してから切るまでの時間 |
「高感度・高速形(30mA・0.1秒以内)」は、感電したときの人体への影響を小さくすることを目的とした仕様です。
接地(アース)との関係
洗濯機や電子レンジのアース線は、漏電したときに電気を大地へ逃がす道をつくります。アースがあると、人が触れる前に漏れた電流が大地へ流れ、漏電遮断器がすばやく動作します。
住宅の機器の接地は一般にD種接地工事で、接地抵抗値は100Ω以下(漏電時に0.5秒以内に自動遮断する装置があれば500Ω以下)とされています。
漏電遮断器が落ちたときの対処
- 分電盤で、落ちているのが漏電遮断器(主幹)か、配線用遮断器(子ブレーカー)かを確認する
- 子ブレーカーをすべて切り、漏電遮断器を入れる
- 子ブレーカーを1つずつ入れ、再び落ちる回路を探す
- 原因の回路が見つかったら、その回路は切ったままにして電気工事店に点検を依頼する
原因がわからないまま何度も入れ直すのは危険です。
まとめ
- 漏電は絶縁の劣化などで電気が外へ漏れること。感電・火災の原因になる
- 漏電遮断器はZCTで「行きと帰りの電流の差」を検出して回路を切る
- 住宅では30mA・0.1秒以内の高感度高速形が一般的。アースとの組み合わせが大切
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参考文献
- 電気設備の技術基準の解釈(経済産業省)
- 日本電気協会『内線規程』(JEAC 8001)
- JIS C 8201-2-2(漏電遮断器)


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